Search
Calendar
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< November 2017 >>
twitter
Profile
Recommend
ひとりぼっちを抱きしめて
ひとりぼっちを抱きしめて (JUGEMレビュー »)
日本糖尿病協会,荻原 友未,滝井 正人
過食症になった1型糖尿病の女性と医師の往復書簡
New Entries
Category
Recent Comment
Recent Trackback
Archives
Links
mobile
qrcode
RSSATOM 無料ブログ作成サービス JUGEM
短歌中心百合アンソロジー『きみとダンスを』感想です
きみとダンスを

 短歌中心百合アンソロジーというのが面白そうで、先日文学フリマ東京で入手しました。短歌中心、とのことで素敵な百合短歌、俳句が楽しめました。また、短歌を元にした短編小説もこっちはこっちですごい面白かったです。
 今長い文章を書くのが非常に難しい環境なので全部の感想を書くことができずに申し訳ないです。

 短歌俳句に関しては好きなのがいろいろあって、でも短歌は作品一首一句全部を引用していいのか? ちょっとよくわからないのでざっと。本当にざっとですみません。短歌のこと全然わからないのでこういう感想を書いたことも無いかも??

本多響乃さま「ふれてしずもる」好きでした。真白なる…というのははっとするような、片恋は…なまめかしくも純粋で精神的な愛を強く感じる、片恋は…は悲しくて、みづから…下の句漢字で羅列している言葉の神秘的な感じが好き。やりきれない感じがするけど。
山中千瀬さま「ナチュラルボーン・ウィナーズ」あたしはときどき、ダメだ。…好き。わたりきる…も、永劫回帰…も、私には論理的に説明ができないけど何故かイメージが広がる。

わたぬきさま「装う」最初から…が好き。今更だけど、百合って女同士だから、それ自体は別に私は屈折していると思わないけれど、思いに関してはどこか屈折したものを抱えざるを得ないところがあるんだろうなあということをいろいろな短歌を拝見して思いました。


<百合よみショートストーリー>

maiさま「Girl next door」
  結構好きでした。なんで男を上げる、とも思いましたが見たことのない百合描写で、見たことのない修羅場で、全員が上手くやれない。主人公はあくまで男だから部外者なのだけれど一人身の彼のやりきれなさが素直で若くてよろしい、で、その目を通した柏木の描写は愚か、ゆえにいとおしく感じてしまう。


磯崎愛さま「三十振袖」
 ごく個人的な趣味ですが私は愛さんの小説では女性が主人公のものが特に好きで、これは女性主人公の作品でやっぱり好きでした。ページを開くとぱっと目に入ってくる美しく優しい日本語、ひらがなの使い方、ひとびと、かぼそい、けっきょくなんていうひらがなの使い方なんかもたまりません。これだけでも楽しめます。
 きらきら生き生きした華やかさではないけれど、上品な、ゆかしい感じの女性たちをイメージしました。そして極度のエロをにおわせつつ衣の向こうに隠したようなそこはかとないその雰囲気が心地よかったです。
 師匠への愛を描くのかと思えば、つらつら語っているのは他の女性のことで、重なっていたものが少しずつ少しずつ剥がれて2枚の絵になって、そして私の見ていたものが何だったのか最後の式子内親王でああ、と……王朝の雅な歌と最後に一か所だけ出てくるカギカッコの言葉とともに、印象深く物悲しい、愛すべき短編でした。
 と、気付いたのですが私はそんなに察しがいい方ではないので、愛さんの文章は私にはそれほどわかりやすいものではないのかもしれないです。内容を誤解してそのまま最後まで読んでしまっているのかもしれないと思う時も正直多々あります。人の名前が出てこないのでどういう代名詞を使っているかで誰のセリフか、どういう状況かなど判断しないといけないことも多いし。自然にできたら問題ないんでしょうが。考えてて読むのを一時でも止めてしまうのがもったいないくらい美しい文だから、何かよくわかっていないまま最後まで流れるような音につられて泳いで行って、最後とても腑に落ちたような気になるのはやっぱりそれだけの文章を愛さんが(一字一句全てを意識的に構成しているのならすごすぎて…)作っているのだと思います。この感覚で思い出したのは、学生の頃源氏物語の対訳つきのを読んでいて「たらららら、たら、たらら、たたたたららららららあららら、〜〜、〜〜〜〜、〜〜〜〜、〜〜〜〜〜〜〜〜」というような(なんだそれは)文の流れだけで意味を考えないまま何ページでも読み進めてしまいそうな、あれを読んでそのあとで私の書く文がしばらく長い長いつないでいく妙な感じなのになってしまったくらいのインパクト。ちょっと危ない気がする。何か大事なところを読み落として気付かないままなんてもったいない……。もっと察しが良くなりたい。
 何か文章のことばかり書いてしまったのですがストーリー的なものが普通なのかといえば全っ然そんなことないです。愛さんのはいつも結構変ってる。最近書いておられる現代ファンタジーの夢使いのシリーズで他のもいろいろ好きなのだけれど、これも一つの独立した美しいストーリーとして楽しませていただきました。と思ったら、後で発覚。『百年冷蔵庫』の「あやとりゆめむすび」で出てきている方だった模様?!ものすごいいろんな要素が詰め込まれてびっくりするほど奥行きのある物語で大好きだったので、あやとりゆめむすびもかなりおすすめです。


柳川麻衣さま
 「ロータス」の番外編! あれはすごく好きな本で、また登場人物に出会うとは思わなくて嬉しかったです。ダスティンホフマンの卒業を引き合いに出すようなベタな妄想をする桃重が、ふらふら男に惹かれていっては現実にため息ついて本当に好きな人のことを心で思っている、思っているだけの桃重が可愛い。いやらしい女のはずなのに妙に共感してしまう部分があってこんな子がもし私のそばにいたらいつも気にかかっていらいらしてしまうと思う。河野裕子氏の「たとへば君」の短歌は印象深くてなんとなく心に残っていたけれど、桃重と例の友人の話と組み合わせると違う風に見えて本当素敵で。男らしさの表現を男装の麗人にもっていくとどこか武骨さがなくなって。がさっと、だから私は歌で単純にもっと乾燥した、栗の葉のような落ち葉をイメージしてしまっていたけれど、散ったばかりの油分の多い銀杏ならばなまめかしくさえある。たとへば君。だから、多分そんなこと絶対ありえないだろうとわかってる。真っ黄色の銀杏並木の下好きな人と気まずく歩くのを想像して震えるような寒さと胸の痛みを思い起こしてしまう。

 ところで私この本はあずみさんのところで「あれ、これもここにあったのね」と買ったように思っていたけれど、どうもお隣のブースだったらしい。そういえば会計別って言われたのにその時はそれ以上頭が回らなかった……ひょっとして麻子さんて文フリにいらしてたんだろうか。


山中千瀬さま
 どういう状況なのか、正直最後の方まではっきりとはわからないのですが、とても寂しい。
 短歌は最後に読んだのですが、こんな寂しいやりきれない感覚の歌に救いや励ましの言葉を入れ込む文章の力がすごいなあと思いました。それでもその救いの言葉すら悲しくてそら恐ろしくも感じます。短い文章の中に確かに世界が広がっている。


あずみさま 「消滅可能性私達」
 この方もひとつひとつの言葉の使い方をとても意識して書かれているのではないかと思いますが、まずそういうのが私は大好きで。漢字とひらがなを上手く使い分けることでこの作品の雰囲気を古めかしく、それでいてとても繊細な女性らしく(非男性的というような意味で…タイトルも「〜僕達」ではないのだし)しているのが好きです。絶望的で淡々とした世界が美しくて、描写が妙に現実的にも感じるのにやっぱりどうしても夢の中の話のようで、とても不思議な感覚でした。美しくて面白い。小説には出てこなかった転落の詩、という言葉が最後短歌の中で出てきて、ああ、とずしんと胸に迫りました。他の作品もそうなのですが、短歌はもともとは作者の個人的なものから生まれ出て、受け取り方によって普遍的になれるものではありながら多分こういったストーリーは全くといっていいほど想定していなかったと思います。でも小説書きの皆さま印象的な言葉を織り上げ散文という形で見事に作り、これもまた間違いなくこの元の短歌の表すお話なのだなあと思いました。

正井さま
 この作品も個人的にすごく好きでした。(方言を知らない私が勝手な解釈をしますが)関西弁が二人の関係を深刻すぎるものにせずちょっと明るく軽い感じにしてて、その雰囲気と、それでいながらストッキングのつまさきとか爪とか、七実の美しさ、ブーケの描写、それも女性目線の繊細な描写がきれいで、軽妙な関西弁とうらはらにとても静かで感じのよい世界に思いました。
 それから、普段あんまり人物の視点とかそういうの意識したこと無くてよくわからないけど、ちょっと面白いなと思ったのが、地の文に「方言〜やわと思った。」というような書き方がちょくちょく出てくるところ。私には絶対できないと思うのですがすんごい心地よかったです。いろいろ人物の内心などは想像できるけれど、これ以上の言葉はいらないくらい二人の間がまるく出来上がっていて、言葉を入れすぎるのは返って余計なのかもしれません。
 
JUGEMテーマ:同人誌
web拍手 by FC2
posted by: nanori | 同人誌文学 | 15:36 | comments(0) | trackbacks(0) |-









この記事のトラックバックURL
http://blog.nanori.pussycat.jp/trackback/902779
トラックバック