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2015秋文学フリマ東京の感想その1
夏至の歌声、冬至の踊り

並木陽さま『冬至の歌声、夏至の踊り』
@namicky24

 短編がふたつです。表紙、ポーランドの民族衣装の少女たちの絵がとっても素敵。

少女たちのヴィギリア
 舞台は少し昔のオードラ川流域シロンスク地方だそうです。現代のポーランドあたりの地域だそうで、川を隔てた向こうとこちらでは言語が全く違って、というか昔は同じ国の中であっても森の向こうの村とは言葉が違って全然話せなかったりということがあったようですがそんな村々で子供を交換して互いの言葉を覚えさせる風習がありました。そうして川の向こうの村からやってきた少女ゴルジと、そのステイ先の家の少女アグニェシュカの過ごした最後の冬至の祭日のお話。人間的な営みの美しさを感じるお話でした。日常を切り取った短い小説で、大きな事件の起こるようなお話ではなかったですが、祭日の特別なキラキラした感じが、少女たちのいきいきとした姿を一層輝かしく表して、人生にはこういう美しい一面が確かにあるのだと、読んでいて改めてはっとさせられました。
 近世ポーランドの庶民の生活って全然知らなかったですが、この村では普通に生活の中にある食事や儀礼や歌や占いやなんかが、こと細かに描かれて目の前に浮かぶようで本当楽しかったです。アグニェシュカは本当にかわいい。

宴の火
 こちらは逆に非人間的な(?)美しさの感じられるお話でまたうっとりさせられました。古代アイルランドの神話からの創作だそう。出てくるケルト的な言葉や人名から美しいのですが、音楽の表現、森に聞こえる様々な音、火を囲む夏至の祭りの踊りの、跳躍や回転の美しさ、五感に加えて夢や幻まで出てきて訴えかけてくるものが本当すごくて、読んでいると主人公の必死さが伝わりつつも、ヒロインのゆこうとする運命的な力の流れにずるずる引き込まれて、こういう小説はもしかして初めて読んだかも??というような新鮮な感じがしました。ひとつの幻想が完成しているような。



並木陽さま『青い幻燈
 こちらの新刊も一緒に買ってみました。
 19世紀パリラテン区のアパルトマンに或る日一人のグリゼット(お針子)志望の少女がやってきて、詩人と画家二人の若者の生活に彩りを加えることになる。この詩人と画家がなかなか素敵なペアで、どうでもいいけどなぜか吉田山田のイメージで頭の中で再生されてしまって(髪の色とかは逆かも?)何か好きでした。短編で、センスのある軽快な出だしの小説ながらはっとするような濃いテーマで進んでいって、第二章の「『世界の真理』と『刹那の悦び』についての問答」などは先に読んでいた「宴の火」を思わせるようなところもあって、こういうのがあるからこそ結末がありきたりに感じないのかもと。詩人のたましいは美しく、シネンドの理想は気高く美しく、絶対に誰にも否定できるものではないと思いつつ、この小説ではこういう結末でほっとするような、でもただ単純に終わるわけでもないところが読んでいてすっと心に入ってきて心地よく感じました。描写に力があり美しく深みのある並木さんの作品はこれからもいろいろ読んでみたいです。ありがとうございました。

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posted by: nanori | 同人誌文学 | 13:24 | comments(0) | trackbacks(0) |-









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