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『グルジア史創作アンソロジーJVRIS』感想
グルジア史創作アンソロジー

グルジア史創作アンソロジー本 @guruan_2015


(====ここから しばらくただ興奮してるだけなので、感想は下へ飛んでください====)

 何か、何かすごい本に出合ってしまったという感じなんですが、グルジアの歴史のみのアンソロジーです。民舞人としてはこれは生涯本棚に入れておかねばなりません。と言っても、日本ではコーカサス(ロシア語的にはカフカス)の民族舞踊といえば、トム(※アルメニア人のダンス講師で昔からよく来日して様々なアルメニアンダンスを紹介している)のアルメニアが一番メジャーで、アゼルバイジャンの何故か現在かろうじて一曲だけ、しかしどこの大学フォークダンス部でも踊られているセシャミール(セイ・シャミル、セイフ・シャミール)という何かの戦争前夜(何の戦争なのか誰も知らない)をテーマにした大人気曲があって、それなのになぜかグルジアの踊りだけ日本ではほとんど聞かない……調べてわかったのはトムが紹介したグルジアの方の曲が日本のどこかで踊られているらしいということくらいで、グルジアは民舞人にもあまりよくわからない国なのです。ただ、グルジアの民族舞踊の動画や愛・地球博で買ったビデオを見ていたとき、アゼルバイジャンの「セシャミール」の旋律が頻繁に聴こえてきて、あれはひょっとしてグルジアとも何か関係のある踊りなのかなと気になっていました。動きも似てるし。民族衣装もアゼルバイジャンとよく似ています。今はインターネット等で資料も少しは集めやすくなってきたんでしょうが私が学生だった頃はコーカサスの民族衣装などの資料が全然なくて(私に調べる能力が欠けていたのでしょうが)、私は経堂の東京ロシア語学院の図書室に行ってロシア語で書かれた踊り本の絵をコピーしてきてそれを元に舞台用民族衣装を縫いました。それくらい謎の多い地域で、日本人には馴染みのない所ですねコーカサスは。

 で、グルジア史アンソロ。私も気にはなっていて、参加もしてみたかったんですが家庭の事情などで去年は全く動けない生活をしていて、ただでさえかなり頑張らないとグルジアわかんないし諦めました。でもこの本は絶対欲しいと思っていました。なんというこの素敵な表紙! まず表紙からして、素敵な民族衣装! こんな感じの着てたし! 作ったし! まだ持ってるし! みたいな。そっか、あれでタマラ女王のコスプレできる?! みたいな。(いや違うけど。奥付の絵の方が私の作ったのに近い)すごい興奮してしまいました。そういえば昔知りあいの女の子が「ちょっとアゼルバイジャンに行ってきまして〜」とビーズの付いた帽子とネックレスもお土産に買ってきてくれて持ってます。なんてフットワークの軽い人なんだと衝撃を受けましたが。

 ただ実を言うと正直に言うと、この本は漫画も有るけど小説メインと思っていたのです。私は漫画を読むのは好きだったんだけどもともと漫画の読解が苦手で、最近読まなくなったせいかもう本当に苦手になっていて、アンソロの多くが漫画だったので(汗)だから絵はかわい〜すてき〜と思いながら読んでましたがちゃんと内容が理解できていなかったら申し訳ないです。

(====ここまで====)

肝心の感想です。
 
 グルジアは最近日本でジョージアと表記されるようになって、ソ連、ロシア的な影響を排除したいそうですが、この本を読んでいるとジョージアという英語的な名前もなんとなくグルジアにはふさわしくないように思いました。東西の様々な民族から侵略を受けながら、何百年経った今も存在し続ける、様々なものを吸収しながら「そういうのを含めた」独自の文字や言語、文化を育み、そして生き延びてきたどこか細い筋の通った国なようです。
 私は戦争はもちろん好きじゃないし生きるか死ぬかという絶望的な日々なんて恐ろしくて、絶対に過去の世界にタイムスリップしたいとは思わないし歴史的瞬間に居合わせたいなんて思ったこともありません。でもついこの間まで、日本でも人は簡単に死ぬもので、国同士で争って負ければ征服されるもので、それがあたりまえだった。国を奪われることの恐怖を感じながら生きる人々の、それでも生きようとする心中を私にはなかなか理解することができないのですが、どんな立場でも強くなければ生き残れない、ということは確かだと思います。そんな人々の価値観は現代日本人とは全然違うんだろうと思いつつ、彼らもまた同じ人間で、同じように泣いたり笑ったりするんだったら、彼らがただ強いだけでなく、悩み苦しむ人々なのだという感覚が自然と心に生じました。スターリンは比較的近い時代の人でその分生々しい描かれ方をしていて本当凄い迫力というか、もともと怖いイメージではありましたが短い二つの作品、解説であ、やっぱ思ったよりいろいろ怖いなと思いました。殺したり殺されたり、ちょっと憂鬱ですが、でも結構どれもさらっと読めはして、最初の「ダヴィド3世とバルダス・フォカス」で中世の繁栄以前の歴史に触れ、敵対することになる強国とグルジアとの友好的な関係を感じさせる二人の武将のイラストにはちょっとほっとします。
 あと、グルジアのそういう文様などがあるのかよくわからないのですが、表紙や、「斜陽の国のルスダン」、「1261」等は画面が美しい模様で覆いつくされてとても魅力的な雰囲気でした。

 この本でよその国の支配下にある国、というのが思ったより複雑な状況なのだということがわかって、どうやって皆生きのびていくか、読んでいると少し緊張します。「サファヴィー朝とグルジア人」で「それでもグルジアの子なの!?」と怒鳴るケテバン、そして、イランのために生きて死んだイマームクリー、「1261」で「守るのよグルジアをあなたと私の手で」とダヴィドウルに言うゴンツァ王妃、それで、グルジアの王妃を殺して自分が力をもってしまうことになるグルジアのオルベリ家スムバト、その他いろいろどの時代もかなり複雑な状況にあるのですが、それぞれの立場で皆グルジア人であるということを強く感じます。この本の中に時々「自由」という言葉が出てきますが、グルジアは強国の支配下で決して自由ではありえなかった。だけど強制されるんでなく諦めるんでもなく皆、自分のグルジア人としての人生を能動的に全うしたように思えてなりません。それがグルジア人にとっての自由への希求なのかも。イラストも漫画も小説も、それぞれとてもいきいきとグルジア人を描いているのでそのように感じました。

 「斜陽の国のルスダン」は、もちろん私はルスダンのことも知らなくて、歴史的にはどのような評価の人なのかというのも解説で初めて知ったのですが、漫画の中ではとても魅力的な強い人で、こういう女性として描いた並木さんの思い入れが並大抵でないのを感じます。女王の夫に関してもまた。
 「1261」の最後はそんなに楽しげな終わり方ではないのですが、スムバトの目つきを見ているとなんだかこの世界を生きる人間の美しさを感じる程です。
 それから私としてはすっごく好きだったのが「ヴァフタング6世をマッチョにした!!!」何故に(笑)ノリが良すぎ(笑)最高!でもってなんかわかりやすかったです。すごいなあ。。。
 最後、小説があって「音のない絵」すごく良かったです。伯爵と呼ばれる画家との出会いで一人のグルジアのアルメニア人少年が自分の中にある芸術に気付くという、主役はやっぱりこちらの少年かもですがこのニコ・ピロスマニという画家にもすごみがあって興味を持ちました。全然知りませんでしたが。二人が出会ったのは史実ではないのかもしれませんが(?)互いに何か感じるものが有った出会い、という同時代の芸術家同士の物語を面白く感じました。演奏の楽器が伝統楽器と違うのもあるかもですが正直ハチャトリアンの音楽のどの辺がアルメニア的なのか私はよくわからなくて(詳しい方教えてください)、とっても現代的な緩急のある壮大なオーケストラと思ってたけど(すみませんよく知らないだけです)、私の知っているアルメニアの音楽はダンスの音楽の方ですが曲の途中で突然雰囲気が変わったり、ジョ・ジョンとかトップシュルマみたいなドンドコ勇壮でかっこいい男性舞踊と、静かで動きに耳を澄ましてしまうような女性舞踊のアルメニア音楽って本当好きなので、今度ハチャトリアンよく聞いてみます。
 あと、「地上に降りた死神」独自の解釈を加えた民話もすごく好きでした! 多分(?)いわゆる歴史的有名人の歴史ではないようですが(?)、どこかの古い時代のグルジア人の心の歴史なんだろうなと。民話も民族の歴史を背負っているものですから。馬に乗ってからの心の動きが特にすごく面白いなあと感じました。

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http://geanthology.tumblr.com/
おすすめします。

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posted by: nanori | 同人誌文学 | 19:01 | comments(0) | trackbacks(0) |-









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