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日本糖尿病協会,荻原 友未,滝井 正人
過食症になった1型糖尿病の女性と医師の往復書簡
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『おなかがすいて眠れぬ夜に』感想

 

世津路章さま

掌編≪俺のグルメ≫FESTIVALアンソロジー『おなかがすいて眠れぬ夜に』

 

 

http://conpotanomoo.blog.fc2.com/

こんぽた。様 (@compota_nomoo) のブログで[活動予定]の「グルメアンソロ」と書いてある本だと思います。気になったらイベントをチェックして是非入手してみてください。また、通販では架空ストアさんで手に入るようです。

架空ストアさんのページ → https://store.retro-biz.com/i12784.html

 

 

 私がこれまで読んだ本で、一番ひたすら幸せな本かもしれないです。48名の「これが!俺の!グルメだ!」というテーマの掌編アンソロジーです。あ、a piacereの相方のまりもさんも書かれてて知ったんですよ。

 

 ここから、病気に関連するめちゃ重な感想なので、一応記事を下に畳んでおきます。こういう風に読む人もいるよ、ということで。作者様方に感謝です。

 

 私は持病があって、十代から二十代の一番食べたい時期に結構厳しい食事制限をしなければならず、「美味しい物」の類はあまり食べられなかったんです。食べられてもほんの少量。ケーキとかパフェとか、今では薬も発達したし普通に食べられるけど、そういうおやつ類はもちろん論外で、ごはんに関しても、ハンバーグは30〜60gだけ(それ食べちゃったら他のおかずは野菜だけ)とか、カレー(一日のうち摂取可能な調味料はカレーおたま一杯分)食べたらその日はもう味噌汁もケチャップも砂糖の入った煮物も食べてはいけないとか、納豆を1パックの4/5食べたらその一食はもう魚も豆腐も肉も卵も食べてはいけないとか(納豆は1食に1パックも食べてはいけない)。

 また、どんなに体がだるくても、39度の熱があっても、食欲が無くても、胃がきりきり痛くても、私はきっちり測りでご飯200gはかって肉と一緒に無理矢理詰め込んでいました。そうしないと具合が悪くなって意識を失うんじゃないかと怖かった。治療食とはそういうことでした(まあ普通に考えて間違ってる認識だと思うし他にやりようがあったと思いますが、しなきゃ死ぬと言われ当時は「公式な」抜け道が与えられていなかったからする人もいたでしょう。それに食べないで後でお腹がすいて食べたくなってもその時には食べられないんです。食べない、お腹がすくという感覚がすごく怖いんです)。食べたい食べたくないじゃなくて、決まった時間が来たら一時間もずらすことができず、卵一個分の分量もずらすことができず、決まっただけ栄養を詰め込むんです。それが私にとっての「食事」でした。あくまでこれは二十年以上前の話ですが。

 

 この病気になるのが十代以下の若い子が多い(もちろんもっと上でもなるけど)というのもあり、そういう制限がこれから「一生」という、無期限で言い渡されているとやっぱりメンタルやられる子が多く、同じ病気の知り合いには摂食障害でずっと苦しんでる人が数人いて。特に子供の頃にそういう体験をしているとなかなか「普通」に食を楽しめなくなる人が多いようです。そういう人がたくさん、私も入院していた心療内科に入院して何か月も苦しい治療を受けていました。

 私は摂食障害ではないけれど、実は未だに食を楽しむのが苦手で。不快にさせてしまうしあまり人には言えないけれど。今でも「おいしそうな」物、「たくさん」に対する執着は強く、かといって味なんてそんな美味しいのかどうか、好きなのかどうか考えながら食べてるわけでもなく焦ってガツガツ(邪魔が入って食べるのを中止したら、甘い分多量に投与してある劇薬のせいで倒れて最悪死ぬという意識が抜けない)食べて、満足感なんて無かったり、むしろ胃がムカムカして食べなきゃよかった。。。ってなって。食が期待に応えてくれないと今度は、むしろ食べることを憎んでいるのです。

 昔使っていた薬の周期の感覚が染みついているのもあるけど、お腹がすくと倒れる、という恐怖、だからお腹がすいている時はとにかくガツガツかっこむ。だからお腹すく→怖い→ガツガツしすぎて胃が痛いはセット。お腹がすくのが怖く、食べるのが怖く、食べないのが怖く。食べた後うんざり。医者に黙って食べた罪悪感。食べたのは悪とみなされるから隠す。また罪悪感。今でも食べると罪悪感っていうのは癖になってる。

 大人たちは皆「病気なんだから食べられなくてもしょうがないじゃないか」「命に関わるんだから我慢するしかない」としか言えなくて、私も子供がもしそういう状況だったら何と言ってあげればいいのかわかりません。

 その中で一生懸命治療食を作ってくれる親には感謝しつつも、他の家族はおいしそうなもの食べてるのに自分だけこれしか無い、メニューが違う、兄弟だけお菓子を食べてるのに自分はダメという経験をしている子は多いと思います。なんかそういうやるせない時代を思い出すこともあり、食べ物系の話は私ももしかしたらあんまり好きじゃないかも? という恐れはありました。

 

 でも、ネットでいくつか作品を見て感じた通り、この本、結構幸せになるんです。幸せになるよなんて、人に押し付けるものではないけど。

 摂食障害のような病気になる人がいるということは、逆に言えば食事がどれだけ人の精神に大きな影響を与えているか、ということでもあります。今でも私は何か口にする時はなんらかの計算をして、あるいは商品の裏に書いてる栄養表示を見て電卓を叩いたりもしています。発症して二十年以上経っていい薬もあるし、いろんなやり方に慣れてきてても計算が難しい物はたくさんあります。そういうことを考えること無しに何かを飲み食いすることができません。夜中に具合悪くなって食べたくないのに食べながら、すごく心がすさむ時もあります。

 でも、そういう中で忘れていた、食への愛情、食にまつわる人や物、動物への愛情、人生への愛情、大袈裟に言うと生きることの悦び、そういう感覚をこの本は取り戻させてくれて、本当に「美味しい本」でした。私がいかに小さい人間だったか、ということでもありますけれど。多分、病気でない健康な人でも、普段こういう美味しさっていうのを忘れて日々の生活に翻弄されていることは多いと思います。皆に思い出してほしい、食べることの単純な美味しさ。敢えて「単純な」と言っていいと思う。素晴らしい本に出会えたなあと嬉しくなりました。

 

 最後の方で、「ロボットの味覚」という作品があるのですが、すごく納得して、ほっこりしました。ロボットだから何か可愛いなという気がしますが、小憎らしい私のような人間でも、素直に美味しいという定義をだんだん自分の中に取り戻していけるような気がしました。

 

 病気が有ろうが無かろうが、人は皆それぞれに苦しんでいて。でも生活のどこかに必ず、小さな幸せはあると思う。気付くのは絶対に簡単なことではないけれど。気付けないほど苦しむ、というのも想像以上に大変なことだから。小さな幸せに気付くのは偉大なのです。誰にでも簡単にできることじゃない。この本のシェフ達の偉大さはひそかにでもいいから評価されるべきだと思う。

 

 すみません何か癖で発想が深刻過ぎになったので軌道修正するけど、、、

 タイトルも皆結構おもしろくて、人の生活、ちょっとしたできごと、家族との時間、日常のユーモア、大袈裟に言うほどでもない密かな思いやり、普段と違うできごと、異世界の人々、そういった世界がいろんな食べ物飲み物の中にあって、とても楽しく、時に切なく苦しくも、優しくて、笑顔になれて、皆どれも本当に美味しい幸せで終わる。バラエティに富んだ、感じの良い掌編集でした。感想が重くなって今更だけど、ああは言ってもやっぱ皆さんに気軽に楽しくパラパラっと読んでほしいなと思います。

 

JUGEMテーマ:読書

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posted by: nanori | 同人誌文学 | 14:32 | comments(4) | trackbacks(0) |-
子供の頃からだと、時間の長さだけでなく、そういう感覚に強く支配されてしまうんだろうね。頭でわかってても、それを改新するのはほんとに難しそう。
なかなかできないことかもしれないけど、食を楽しめるようになっていけるといいなぁと思いました。

わたしは大人発症だったけれど、さいしょまちがった知識で「もうケーキやチョコが食べれないの?」と思っただけで悲しくて泣けてきました...。
それだけ、甘いもの・嗜好品というのは、人をたのしく幸せな気分にさせてくれる大事なものなんだと思う。体に良い悪いとかじゃなくって。

>考えること無しに何かを飲み食いすることができません。

たしかに、それはあるかも〜
計算しちゃうし、罪悪感もついて回るよね。誰も悪いと言ってないのに、自分で勝手に思ってしまう。

けど、こんなふうに自分を客観視できてて、できていないこととしたいことが分かっている なのりさんなら、自分がなりたい自分に変わっていけるんじゃないかなと思うよ!
| カッパ | 2016/07/14 10:12 AM |
>カッパさん
ありがとうございます!
そうなんですよね!子供の頃の時間の感覚というのや、これから一生…っていう感覚って、大人より強いというのもあるのかもしれませんが、私もこんな厳しい制限ってせいぜい4,5年だったと思うんですよ。DM生活20年のうちの。十代の期間の感覚の強さは本当その後長く影響するのかもしれませんね。友人などは小学生に発症して、時代的にもずいぶん昔だから私の頃よりももっと大変だったと思うんです。その子は摂食もあり、思春期とかには反発とかもあり、その後合併症を発症したりもして、本当に苦しい思いをしていると思います。今はすごく前向きな人なんですが、摂食はやっぱりなかなか難しいみたいで。わかっていても簡単じゃないんだなと思います。
もちろん、大人だから平気なわけじゃなくて、誰だって何歳だってすごく傷付くと思います。世間どころか家族もわかってくれないし……ってこともあるし。私が発症したのは大人と子供の間くらいだったのでどっちの気持ちも中途半端にしかわかりませんけれど。

そうそう、栄養学的にはし好品っていらないもの扱いですよね。中学の時家庭科の先生も「お菓子、おやつは栄養的には必要のないものです!」と言い切ってたし。でも本当、大事なものですよね!体を大切にすることも重要ですが、同じ位心も大切にしないと!って最近すごく思います。心を壊して体も壊れる例を自分も含めてたくさん見てますし。

あ、やっぱりありますよね〜。罪悪感。そうそうそうなんです!今は誰も悪いことだなんて言ってないんですが。自分で思っちゃって。

ありがとうございます、カッパさん優しいですね。いろいろ自分を見つめて、心を修正していきたいなあと最近ずっと思っています。その方が楽しく生きられそうだなあって。カッパさんのブログ、DM以外でもすごい楽しくて気持ちの整理とかの参考になります(苦手な頭や身の回りの整理とかも)
| なのり | 2016/07/16 12:46 PM |
はじめまして。世津路さんのツイートから拝読に上がりました。アンソロ参加させて頂きました歌峰です。

ご感想拝読して、おお、もしかして1型の方…? と思いました。(コメント欄拝読しました。やはりDMでらっしゃいましたか)
私はかれこれ十年ばかし2型と付き合っております。なのりさんに比べたら全然ユルユルな状態で、不真面目管理しかしていませんが、それでも「ああ、分かる…」と思う部分がたくさんありました。

十代の子供の頃ともなると、それはそれは辛いだろうなぁ…と思うと切ないです。(※自分は二十歳の頃に不摂生が切っ掛けで…w)
「空腹感」や「食べられない」という思いは、凄く人を追い詰めますよね。ああ、食べるってのは生存本能なのだな、と実感します。

ロボの味覚のお話は、WEB投稿を拝読した時に「おお!」と思いました。
そして、お話を読んでの私の感想は、「カロリーは美味い」でした(笑)
燃料としての質の良さ、配合バランス…それってきっと、人間に置き換えると糖質脂質たんぱく質の比率や品質だろう、と。
燃焼効率の良い糖分と、腹持ちの良い脂質が美味いのは…生物としての「仕組み」なんだよ……生クリームうめぇ。という。

すみません、とりとめもなくなってしまいましたが、記事を拝読してどうしても名乗り出たくなってしまったので、お邪魔いたしましたm(__)m
素敵なご感想が、もっと他の参加者さまにも伝わると良いな〜! と思います。
| 歌峰由子 | 2016/07/17 10:23 PM |
> 歌峰由子さま

読んで下さりありがとうございます!
コメント頂き嬉しいです。
そうなんです、仰る通り私は1型で、今は良いインスリンが有るので結構いろんなものが食べられるようになりました。医療の進歩はすごいですね。
歌峰さんは2型でしたか。文芸関係の方からこういう話題をふられるのは初めてでびっくりしました。1型も2型も多く診ている医師の中には、1型は100%インスリンで管理できるから、2型の方がコントロールが難しいという先生もいて、どっちが大変かはもちろん人によるし何とも言えないですが、どちらにしろDMは結構大変ですよね。そうそう、生存本能ですよね。「空腹感」「食べられない」がすごく追い詰められるっていうの、実感としてすごくわかります。

ロボットの味覚、好きな話でした。面白い発想だなと思いつつ、人間で言うと……って考えたらおもしろいですね。カロリーは美味い、納得です(笑)

正直ここに書いたのは自分にとっては日常のことで、仲間内では有る有るなので、あまり人に特殊だと見られるのも戸惑うし、なにより不幸自慢みたいになったら嫌なのですが、素直な感想、みたいに書いたらこんな風になってしまいました。何か重くて申し訳ないなあという気持ちも。。。

歌峰さん甘露[アムリタ]というのを書かれてましたね。コメントに書いて下さったことと考えあわせると面白いなと思ったのですが、固形燃料、まさしくロボットが栄養にしそうな、明らかにまずそうなものしかなくて、確かに多分それでは人類は生き延びられないんだなあ……と。それでもって終身刑の…っていうのが何かブラックな(笑)
本当バラエティに富んで面白くて飽きないアンソロですね!ありがとうございました!
| なのり | 2016/07/18 7:37 PM |









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