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西乃まりも様『ギャラクシィ少年の社会見学記』感想書きました
西乃まりも様『ギャラクシィ少年の社会見学記』

まりもん堂 http://marimondou.web.fc2.com/

※すみません! 内容に関することはできるだけ削ったのですが、やはりあれこれ書いているので全く何も知らない状態でこれからこの本を読みたい方はご注意ください)

「ギャラクシィ少年の社会見学記」

 送っていただけました〜。まりもさんありがとうございます! いろいろと忙しく読むのが細切れだったのですごい時間がかかりましたが、でもそれでも読みたくて夢中になるくらい、楽しい時間を過ごさせていただきました。
 とっても綺麗な淡い色合いなのですが部屋が暗くて写真がなかなか綺麗に写らず変な構図ですみません。a piacere相方さんが文フリ大阪の時出された新刊です。a piacereのサークル誌表紙イラストはいつもまりもさんが描いてくださっているのですが、今回の少年の絵もご本人が描かれていてすごく可愛い少年たちです。裏の来人くんもイメージ通り可愛いですよ!

 本の裏にあらすじが書いてあって、その最後に「2人の子供と、子供みたいな大人たちの物語」とあって、読む前にこの文を見てからずっと頭に残っていました。子供が主人公の物語っていうのはどうしても自分の子供時代のことを思い出してあれこれ考えてしまうのでなかなか読み進められなかったりいつの間にか読み間違えてしまったり! ということがあるのですが、やっぱりこの小説も私はものすごく自分勝手に勘違いして読んでしまった気もして……でも、それでもとにかく楽しくて、優しくて、温かい、実はいろいろあるにせよ、だからこそ、本当に温かい物語で大好きでした。
 本の裏の「子供みたいな大人」……ですが、それってどういうことだろう、子供らしい子供、大人みたいな子供、大人らしい大人、子供みたいな大人、といろいろ考え考え読んでいるうちに私が最初に心にひっかかったのは主人公の一人吉田直哉くんのお母さんです。この方はとても厳しい人なようです。お母さんはもう一人の主人公篠崎来人くんのことを「ライトくん」とカタカナで呼びそれに関しても直哉くんは嫌な感じがしているようです。もちろんお母さんは来人くんを快く思っていないのです。いまどきの変った名前つける親なんてやっぱり……そんな親に育てられた子供なんてきっと……ほらね服装もあんな……云々。そういう批判的な人の嫌な感じはちょっとわかります。昔から子供が主人公の本にはそういう親御さんは出てきました。子供からするとわからずやな大人は親であっても時には敵(子供は親を最後には絶対憎めないけれど)という位置づけでしたね。でも、詳しい内容は置いておいて、このお母さんが桧山荘のおばさんの働きで普段なら絶対ありえないことを息子に許可してくれた時に、直哉くんは「魔法」みたいだと大いにびっくりしていたのですが、私がびっくりしたのはお母さんの方です。この人の素直さは大人らしくない。この本で一番子供みたいな大人なんじゃないかと感じたくらいです。もちろん子供が皆素直かというと全然そんなことは無いと思いますが、大人の論理で生きている大人が平気で手のひらを返すなんて。今まで言ってたことは何だったのか、自分の頑固な主義でこれまでひとを傷つけてきた責任を今更どうやって取るつもりなのか。普通こんな手のひら返しされたらものすごい不信感を持つと思うのですが、反省を伴ったあまりにも素直な意味合いでの手のひら返しだから直哉くんも素直にすごいすごい、です。むしろおばさん達の方が大人の汚い知恵でずるいことしてるのかもなのに(笑)。もしかしたら信じるに足るものを子供はそれまでの親との生活でずっと見てきたのでしょうか。

 二人の少年はそれぞれ個性的ではありつつ大人しい現代っ子で。もともと気の合いそうな組み合わせだなと思ってましたが、二人でいることでどんどん魅力的に見えてきて、どっちも素敵な子でした。単純に見えて実は繊細な目で物事をとらえている直哉くんが私はとても好きでした。さすがあのお母さんの息子です。
 来人くんは、どちらかと言うと大人っぽい子供なのかなとも思いますが、やはり「大人みたいな子供」、と「大人」は違うと思います。来人くんはまだ子供でいい。だけど成長過程と、ある程度成長してからまた学びなおす大人と、どこが境界でどこがどう違うんだろう。未熟が許される子供と許されない大人。どんどん増して人を押しつぶそうとする責任というものの存在。なんかテーマからは外れると思いますが読んでいてそういうのをいろいろ考えてしまいました。未熟ということはそれ(未熟さ)自体がこれから失われていくということでもあって、まだ熟していないということはこれから熟してしまうということ。考えてみたら寂しくもあるけれど、とてつもない喜びでもあります。大人になっても人は一生未熟なのかもしれないのですが、だとしたら人は一生寂しく喜ばしいものなのでしょうかね。私自身近頃子供を持つ身になって理屈でなくそんな風に感じるようになりました。

 物語の終わりが近づいた頃、直哉くんは或る人と握手して家に帰るのですが、この一文がとっても好きだったので、いいのかな、引用しますね。

「手を伸ばすと、ほっそりとした、温かくて白い手のひらに、僕の右手はきゅっと包まれた」

 ああ、まりもさんの作品何作も読ませて頂いてるけど、この方こういうのも書かれるんだなあ……ときゅんとしました。本当にこれは好き。人、場所の温かい雰囲気、情景や、手のこちらに向かってくる感覚や、その手の感触、それに対する僕の印象がぼうっとした感じで目の前に浮かんでくるようで、本当に好きでした。

 まりもさんの作品は本になっているのでは「水底の部屋」が多分一番有名かな? と思うのですが、あれ本当に素晴らしくて評判もいいのですが、その後どんどんいろんなテイストのものを書かれてどんどん幅が広がって深みも増していて、是非是非この作品もいろんな方に読んでいただきたいです。

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posted by: nanori | 同人誌文学 | 21:29 | comments(2) | trackbacks(0) |-
『贋オカマと他人の恋愛』感想
贋オカマと他人の恋愛

 写真、栞を乗せたままでした……
 先日文学フリマ東京の時に柳屋文芸堂の柳田のり子さまにいただいた(!ありがとうございました)『贋オカマと他人の恋愛』、なかなかまとまった時間がとれなくてちょこ、ちょこと読んでいたのだけれど読み終わりました。初めタイトルが奇抜でなんのことやらさっぱりわからなかったのですが(笑)読み終えてみるとああ、確かにその通りの小説だと納得してくすっと笑ってしまう。
 出だしから引っ張り込まれました。そして、喜劇っぽいのに悲劇の予感を初めから醸し出していて、わくわくしながら読み進めつつどこかで不安を感じてもいました。男ばっかりの小説ってあまり好きなじゃないのかと自分で思っていたけどめちゃくちゃ面白かった……まあタイトルからしてもオカマの話です。登場人物は皆個性的でそれぞれ魅力的で。だから関係性も単純明快はっきりしてるのかと思えばこの話実はものすごく複雑な人間関係で最後の最後までびっくりさせられました。
 主人公は幼少より日舞をしていたマザコンの美男子で、頭を使って上手く生きぬいてるように見せつつ生きることに不器用、そして律儀で真面目過ぎる人だと思う。と、思ったら案外気障で、気障というかあんまりこういう言葉にぴんときたことがなくてそういう表現をしたこともなく正しい使い方かわからないけれど、「粋」な振る舞いをさらっとしてしまう。びっくりする。絵にキスするシーンとか。それでもやっぱり自分の適性を真剣に考えた上で何故かオカマバーでバイトをしてしまうなんていう突拍子もないことする程不器用で、何故かそれをうまくこなしちゃう程器用でもあって、そのうえでものすごく純粋な人。P53の「サッちゃん。」の一言にぐっときた。寂しくもあり逞しくもある。孤独でもあり深い友情で人と繋がってもいる。面白い人です。
 正直村上春樹については私は全然知らなくてノルウェイの森をむかし読んだことがあるくらいだけれど、好きな人の方がもっと楽しめるのかも? どうもあいまいではっきりしないまま生きていかざるを得ない終わった話とか、心のどこかにもやもや残ったまま必ずしも嫌な存在ではない人とか事とか、この小説ではそういうものに単純な答えを出さないところにも魅力を感じました。お話の世界観とお別れする寂しさ、読み終わるのがもったいないような感覚はこれまでたくさん感じてきたことが有るけれど、この本に関しては登場人物たちの逞しさのせいか彼らをとても信頼してしまっていて、このまま簡単には完結せず世界は続いていくのだと思わされ、愛着を感じながら私も淡白に自分の日常に帰れる。読後感が全く寂しくなく、その感覚にも面白さを感じました。だけども本当に出会えてよかった小説でした。
 それにしても伝統芸能の世界、古典文学の世界、着物の美しさとか、作者様の思い入れや造詣の深さが伝わってくる作品で、江戸文化等まったく知識が無かった私ですがとても魅力的に感じ、能なども一度見てみたいと思いました。
 ネタばれとか余計なことは書かないようにしたら上手く伝えられなかったですが本当面白かったです。
 
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posted by: nanori | 同人誌文学 | 13:10 | comments(0) | trackbacks(0) |-
短歌中心百合アンソロジー『きみとダンスを』感想です
きみとダンスを

 短歌中心百合アンソロジーというのが面白そうで、先日文学フリマ東京で入手しました。短歌中心、とのことで素敵な百合短歌、俳句が楽しめました。また、短歌を元にした短編小説もこっちはこっちですごい面白かったです。
 今長い文章を書くのが非常に難しい環境なので全部の感想を書くことができずに申し訳ないです。

 短歌俳句に関しては好きなのがいろいろあって、でも短歌は作品一首一句全部を引用していいのか? ちょっとよくわからないのでざっと。本当にざっとですみません。短歌のこと全然わからないのでこういう感想を書いたことも無いかも??

本多響乃さま「ふれてしずもる」好きでした。真白なる…というのははっとするような、片恋は…なまめかしくも純粋で精神的な愛を強く感じる、片恋は…は悲しくて、みづから…下の句漢字で羅列している言葉の神秘的な感じが好き。やりきれない感じがするけど。
山中千瀬さま「ナチュラルボーン・ウィナーズ」あたしはときどき、ダメだ。…好き。わたりきる…も、永劫回帰…も、私には論理的に説明ができないけど何故かイメージが広がる。

わたぬきさま「装う」最初から…が好き。今更だけど、百合って女同士だから、それ自体は別に私は屈折していると思わないけれど、思いに関してはどこか屈折したものを抱えざるを得ないところがあるんだろうなあということをいろいろな短歌を拝見して思いました。


<百合よみショートストーリー>

maiさま「Girl next door」
  結構好きでした。なんで男を上げる、とも思いましたが見たことのない百合描写で、見たことのない修羅場で、全員が上手くやれない。主人公はあくまで男だから部外者なのだけれど一人身の彼のやりきれなさが素直で若くてよろしい、で、その目を通した柏木の描写は愚か、ゆえにいとおしく感じてしまう。


磯崎愛さま「三十振袖」
 ごく個人的な趣味ですが私は愛さんの小説では女性が主人公のものが特に好きで、これは女性主人公の作品でやっぱり好きでした。ページを開くとぱっと目に入ってくる美しく優しい日本語、ひらがなの使い方、ひとびと、かぼそい、けっきょくなんていうひらがなの使い方なんかもたまりません。これだけでも楽しめます。
 きらきら生き生きした華やかさではないけれど、上品な、ゆかしい感じの女性たちをイメージしました。そして極度のエロをにおわせつつ衣の向こうに隠したようなそこはかとないその雰囲気が心地よかったです。
 師匠への愛を描くのかと思えば、つらつら語っているのは他の女性のことで、重なっていたものが少しずつ少しずつ剥がれて2枚の絵になって、そして私の見ていたものが何だったのか最後の式子内親王でああ、と……王朝の雅な歌と最後に一か所だけ出てくるカギカッコの言葉とともに、印象深く物悲しい、愛すべき短編でした。
 と、気付いたのですが私はそんなに察しがいい方ではないので、愛さんの文章は私にはそれほどわかりやすいものではないのかもしれないです。内容を誤解してそのまま最後まで読んでしまっているのかもしれないと思う時も正直多々あります。人の名前が出てこないのでどういう代名詞を使っているかで誰のセリフか、どういう状況かなど判断しないといけないことも多いし。自然にできたら問題ないんでしょうが。考えてて読むのを一時でも止めてしまうのがもったいないくらい美しい文だから、何かよくわかっていないまま最後まで流れるような音につられて泳いで行って、最後とても腑に落ちたような気になるのはやっぱりそれだけの文章を愛さんが(一字一句全てを意識的に構成しているのならすごすぎて…)作っているのだと思います。この感覚で思い出したのは、学生の頃源氏物語の対訳つきのを読んでいて「たらららら、たら、たらら、たたたたららららららあららら、〜〜、〜〜〜〜、〜〜〜〜、〜〜〜〜〜〜〜〜」というような(なんだそれは)文の流れだけで意味を考えないまま何ページでも読み進めてしまいそうな、あれを読んでそのあとで私の書く文がしばらく長い長いつないでいく妙な感じなのになってしまったくらいのインパクト。ちょっと危ない気がする。何か大事なところを読み落として気付かないままなんてもったいない……。もっと察しが良くなりたい。
 何か文章のことばかり書いてしまったのですがストーリー的なものが普通なのかといえば全っ然そんなことないです。愛さんのはいつも結構変ってる。最近書いておられる現代ファンタジーの夢使いのシリーズで他のもいろいろ好きなのだけれど、これも一つの独立した美しいストーリーとして楽しませていただきました。と思ったら、後で発覚。『百年冷蔵庫』の「あやとりゆめむすび」で出てきている方だった模様?!ものすごいいろんな要素が詰め込まれてびっくりするほど奥行きのある物語で大好きだったので、あやとりゆめむすびもかなりおすすめです。


柳川麻衣さま
 「ロータス」の番外編! あれはすごく好きな本で、また登場人物に出会うとは思わなくて嬉しかったです。ダスティンホフマンの卒業を引き合いに出すようなベタな妄想をする桃重が、ふらふら男に惹かれていっては現実にため息ついて本当に好きな人のことを心で思っている、思っているだけの桃重が可愛い。いやらしい女のはずなのに妙に共感してしまう部分があってこんな子がもし私のそばにいたらいつも気にかかっていらいらしてしまうと思う。河野裕子氏の「たとへば君」の短歌は印象深くてなんとなく心に残っていたけれど、桃重と例の友人の話と組み合わせると違う風に見えて本当素敵で。男らしさの表現を男装の麗人にもっていくとどこか武骨さがなくなって。がさっと、だから私は歌で単純にもっと乾燥した、栗の葉のような落ち葉をイメージしてしまっていたけれど、散ったばかりの油分の多い銀杏ならばなまめかしくさえある。たとへば君。だから、多分そんなこと絶対ありえないだろうとわかってる。真っ黄色の銀杏並木の下好きな人と気まずく歩くのを想像して震えるような寒さと胸の痛みを思い起こしてしまう。

 ところで私この本はあずみさんのところで「あれ、これもここにあったのね」と買ったように思っていたけれど、どうもお隣のブースだったらしい。そういえば会計別って言われたのにその時はそれ以上頭が回らなかった……ひょっとして麻子さんて文フリにいらしてたんだろうか。


山中千瀬さま
 どういう状況なのか、正直最後の方まではっきりとはわからないのですが、とても寂しい。
 短歌は最後に読んだのですが、こんな寂しいやりきれない感覚の歌に救いや励ましの言葉を入れ込む文章の力がすごいなあと思いました。それでもその救いの言葉すら悲しくてそら恐ろしくも感じます。短い文章の中に確かに世界が広がっている。


あずみさま 「消滅可能性私達」
 この方もひとつひとつの言葉の使い方をとても意識して書かれているのではないかと思いますが、まずそういうのが私は大好きで。漢字とひらがなを上手く使い分けることでこの作品の雰囲気を古めかしく、それでいてとても繊細な女性らしく(非男性的というような意味で…タイトルも「〜僕達」ではないのだし)しているのが好きです。絶望的で淡々とした世界が美しくて、描写が妙に現実的にも感じるのにやっぱりどうしても夢の中の話のようで、とても不思議な感覚でした。美しくて面白い。小説には出てこなかった転落の詩、という言葉が最後短歌の中で出てきて、ああ、とずしんと胸に迫りました。他の作品もそうなのですが、短歌はもともとは作者の個人的なものから生まれ出て、受け取り方によって普遍的になれるものではありながら多分こういったストーリーは全くといっていいほど想定していなかったと思います。でも小説書きの皆さま印象的な言葉を織り上げ散文という形で見事に作り、これもまた間違いなくこの元の短歌の表すお話なのだなあと思いました。

正井さま
 この作品も個人的にすごく好きでした。(方言を知らない私が勝手な解釈をしますが)関西弁が二人の関係を深刻すぎるものにせずちょっと明るく軽い感じにしてて、その雰囲気と、それでいながらストッキングのつまさきとか爪とか、七実の美しさ、ブーケの描写、それも女性目線の繊細な描写がきれいで、軽妙な関西弁とうらはらにとても静かで感じのよい世界に思いました。
 それから、普段あんまり人物の視点とかそういうの意識したこと無くてよくわからないけど、ちょっと面白いなと思ったのが、地の文に「方言〜やわと思った。」というような書き方がちょくちょく出てくるところ。私には絶対できないと思うのですがすんごい心地よかったです。いろいろ人物の内心などは想像できるけれど、これ以上の言葉はいらないくらい二人の間がまるく出来上がっていて、言葉を入れすぎるのは返って余計なのかもしれません。
 
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posted by: nanori | 同人誌文学 | 15:36 | comments(0) | trackbacks(0) |-
文フリ本の感想
山本清風さんの『私はあなたに触れたいという欲求が私はあなたに触れられないという禁則から逆説的に生まれていることを知ったとき、私はあなたに生かされていると感じる。』読んだ。おもしろかった。
考えてみたら最後に行った文フリの時片っ端から買っておけばよかったんですが。とりあえず一冊って感じになっていつもあんまり買わなかったんです。でもこの方の作品は立ち読みしてみた時より断然、家に帰って一行ずつ読んだ方が面白いのでいつも全部買えばよかったと後悔。文フリ本の感想と書きつつ、その他まあ諸事情もあり『イカサレ』は文フリで買わずネットで購入させていただいたのです。

前置きが長くなったけど感想は簡単です。すいません。
下品な会話をぱんぱんぱーんと飛ばす勢いのよさの合間に、硬い言い回しや真面目すぎる描写を放り込むそういうバランス感覚が非常に面白くて、またそれが逆にいやな感じもするけどいやな感じにしてるのを意識した上でかあれこれ端的に切り上げてくれるような潔いセンス が好きだった。私の言ってることが何か違ったらすみません。でもそんな風に感じて。一文一文非常に頭に入りやすい文章は好きです。それにこの背表紙の潔さは。
高校生の男女……っていうのも好きな題材ではないけどそんなのがやっぱり私の偏見だったと思うくらい魅力的な恋愛小説だなあと思いました。そしたらやっぱこれの続編のも一緒に買えばよかった……と新たに後悔したのでした。

http://ameblo.jp/rehabilog/ @ankipan

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posted by: nanori | 同人誌文学 | 00:39 | comments(0) | trackbacks(0) |-
「金魚ファーラウェイ」、徒然
文章を書く時あまり凝った台詞を使うよりも、単純なメッセージを何度も何度も繰り返す方が自分では好きです。これまで小説に書いてきた愛の言葉も、言う人物が違うのに全て似たような感じになっていて、それは私が愛をよく知らないからかもしれないけれど、私が伝えたい愛のメッセージというのは生涯通してひとつかふたつかしか無いからなんじゃないか。
そして私は論理的でないことを理解するのが苦手。論理を理解するのも苦手ですが明確な筋道が無い発想はもっと苦手。何言ってるのかわからない。
そんな私には詩など理解できないんだろうし、時々自分で詩歌を作ったりなんかしてもう本当無理しちゃってるわけですが、言葉に関してはもちろん好き嫌いがある。単純な言葉だけを愛しているというわけでもなくて、人の言葉にも自分の言葉にもすごく気を遣うところはあって、これじゃない、これはあってる、まさにこれじゃないといけない、という自分なりのルールは不思議な程に厳格に自分の中にあるのです。
それは多分古典文学とかもたもた読んでみた学生時代の記憶の名残なのかもしれないです。それだけが元だから、現代の自由な発想や自由な言葉、ぱっと煌めく飛んだ言い回しにはなかなかついていけません。理解できない。

で、金魚ファーラウェイですが。短歌とか…往復書簡とか…詩とか…。本のテーマはリプリルフールというリップグロスのようです。
まずリップグロスというものがどうしても理解できなくて。何に使うもの? どんな感覚で使うの? 誰が使ってるの? なんで? 何のために? どんな形状? 私は一度も手に取ったことは無いしなら無くてもいいものではないの? なのに有るということは何か意味があるんだよね。口紅はわかる。リップクリームもわかる。でもグロスはわからない。ネットでリップグロスとは、と検索すると、その説明は何となくわかるけれど何となく、の時点でもう何もわからないのと同じくらい混乱してしまう。
私にとって金魚ファーラウェイはそこから始まっていた。

塗ると嘘がうまくなるリップグロス。リプリルフール。
リプリルフールの絵付き広告が終わると、あきひこさんとすずこさんの往復書簡が突然始まる。彼らはリプリルフールを売る為にいろんな土地を旅している商人で、それぞれの旅を短い手紙で報告し合い、最後に短歌を付ける。まるで友達のようにお互いを気遣いあっている。恋人ではない。敬語を絶対崩さないからまるきり気の置けない友達でもないと思う。でもよく理解し合った友達。だけど謎が多い。彼らの不思議な報告は本当にさりげなく始まって、最初はそんなに強く印象に残る訳でもない。でも確かに心のどこかに残るエピソードばかり。共通するのは嘘。人はいろんな理由で嘘をつきたいと思うのだろうけれど、ここに出て来るのは優しくて大袈裟でない、わかりにくい嘘ばかりだ。なるほどな……リップグロスは口紅のようにはっきりわかりやすいものではないのだ。付けているのかどうかすらわかりにくい。ついているのかどうかすらわかりにくい嘘。

昔、「太陽と月に背いて」という映画を見た事が有るけど、その中でランボーの詩を妹が「よくわからない詩ばかり」と言うと、ランボーは全て明確な意味で書いてると言っていたように思う。映画は一回しか見ていないから記憶は曖昧だけれど。そうなのかもしれない、と今更ながら思う。詩の言葉は、小説もそう、全て、その言葉でなければならないものが選ばれているんだ。こうでなければいけない。
金魚ファーラウェイは短歌や詩、漫画、短い小説がいろいろ盛り込まれて、本当気軽に寝転がって気が向いた時にパラパラ読める本でした。だけど全くいいかげんでない、さり気ない拘りの感じられる作品群でした。だから最後のページまで飽きなかったんだと思います。文フリの時ブースに3回も行って迷って最後やっと買ったけど、買って良かったと思います。(私は迷う時大抵3回程ブースまで行く……)

短歌もいろいろ好きだったけど、一番好きだった作品は、横山絢香さんの苦しいくらい言葉を畳みかけてくる短編小説「口うつして」かな。

感想と言うよりほとんどわけのわからない自分語りでした。

『金魚ファーラウェイ』2014年5月
http://kingyofur.tumblr.com/
@kingyofur
 
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posted by: nanori | 同人誌文学 | 23:41 | comments(0) | trackbacks(0) |-
方位・羅針盤アンソロジー『廻る針の一夕語り』の感想ネタバレ注意
象印社『廻る針の一夕語り』2014年3月
感想です。
http://zoujirusi.web.fc2.com/houianthology/index.html

方位アンソロということで面白そうだなあと思って読んでみました。a piacere相方のまりもさんの分のご本をこっちに回して頂いた形になって申し訳なかったですが(汗)全部面白かったです。
方角とか磁石とかいったものが子供の頃から好きでした。スマホを持っていない私は地図本と一緒に方位磁針を持って歩いたりすることもあり(でも百均のだからか正しい方位を指してくれないのでもう随分長いこと使っていない)、ま、とにかくそういう人にはいろんな方面から楽しめる本でした。

全部楽しませて頂きましたが全部の感想は書く余裕が無いのでいくつかの作品のだけです。適当ですみません。他のも面白いので是非手にとって頂いて、お好みの作品からどうぞ。いぬのほねこさんの表紙イラストも素敵。


ヤンノンさま「北海道中エルボーバイシクル」
変わってて面白い。現実から空想へ、すごく非現実的なんだけどでもどこかで現実と繋がっている不思議な旅行記だった。こういうのはあまり読んだことが無かったかも。ペンギン駅長がシュールだ! あのsuicaのキャラが本当にぴたりとこの世界にはまってて魅力的だった。

日野裕太郎さま「明るいところで光る星」
世界の終末、最後の人類が希望の地を探すような絶望的な状況で、初めからずっとなんだかつらくて怖いのだけれど、途中から不思議なものが登場して、だんだん思ってもみない世界が砂の中から掘り起こされて来るようで、だけどそれが何なのかなかなか具体的にわからないところが面白かった。

R・H・恵賭さま「ケントと星のコンパス」
孤児院の子供の傷付いた心がどういうものだったのか明かされるあたりがはっとさせられた。

まりもさま「止まない風」
戦争で運命の分かれた二人の同級生の話。戦争ではいろんな立場の人がいて、皆がそれぞれに傷付いていて。読んでいてちょっと苦しい。私には、まっすぐな信念を持ち過激な方向に走らざるをえなかったカイが、時代の犠牲者ではあっても哀れむべき間違った人間とは思えなかった。むしろ筋が通っていて誰よりも正しいと思う。罪悪感を胸に秘めつつ成功者となったリクは、運が良かっただけで正しいとされる立場にいる。そういう構造が悲しい。でも最後があのような「分け合うパン」という形で描かれて、平和と言えば単純過ぎるけれど、こうあって欲しいという私の理想の温かさを感じて、とても気持ちの良い読後感だった。そしてあの秘書は良いよ!

久地加夜子さま「彼女の右手」
いきなりすっごく怖かったので夜中にひとりで読んでて途中で読むのやめてしまいました。次の日改めて読んで、やっぱり怖くて、更に悲惨な話で、びっくりでした。それなのに、普通なようでどこかずれてるような主人公真琴くんと、小意気な感じの司書冴木さんの不思議な関係がものすごく印象的で、物語全体の雰囲気がただ怖いだけになってないのが面白かった。とにかくインパクト強!

高村暦さま「時計さん」
作品の感想と関係無いことから書いていいですか。腕時計の短針を太陽の方に向けて、そっちと文字盤の12の数字との中間の方向が南……たしかそんな感じだって聞いた事がある。もうあんまり思い出したくない人から聞いた話だけどそれだけは印象に残ってる。読みながら、それをふと思い出してしまった。時計や方位磁針が行くべき方向を示してくれるというのはすごくわかる気がする。自分が行きたいとはっきり意識している場所へ行く方法を示してもらえばそれで終わりというだけでなく、自分が歩んで刻んできた時間やここまで来た過程こそがその先を決めたりするんじゃないか。うまく言えないがそういうことを考えさせられた。時計さんとの関係や状況もわかって最後すっとした。
この本の他の作品でもコンパスがいろんなものを指し示していて、本当にコンパスを見ていると想像が膨らむと思う。

あずみさま「ネヴァーランドのわたしたち」
生き生きした文章に最初から引き込まれた。作者様は創造力が豊かなんだろうな、短い文章の中で、読んでいてすごく具体的に登場人物の気持ちとか感覚とかいろんなものが見えて来るように感じた。ウェンディがチャーミングで好きだった。リリーはそういうの心の中でも言葉にしないけれど…すごく彼女が好きだったと思う。その辺のリリーのつんとした感じもまたチャーミングで狂おしい。面白かった。
 
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posted by: nanori | 同人誌文学 | 22:45 | comments(0) | trackbacks(0) |-
第18回文学フリマ・本の感想その1
非常に簡単にですが、読んだ本の感想です。
文フリ1

『ジオニタス』vol.1掲載、磯崎愛さま「坂東夫人」 @isozakiai

 40目前の主婦の話で、良い家庭らしいのだけれどいつもなんだかけだるい雰囲気。初っ端から主人公の憂鬱に飲みこまれてしまいました。夫と良義母と義姉に囲まれ慣れない土地で、息が詰まるような空気が流れている。しかし絵画教室の先生との出会いで生活が変わりそうな予感がする。はじめ主人公は先生その人というよりそういう状況にときめいて……でも読んでいてどきどきするようなドラマチックな展開に感じないのは、主人公の心がすーっと沈んでいて、はじめからどこか冷めた気持ちで生きているからなんだろうか。最後橋の上の冷たい澄んだ空気、広々とした空の下の明るい日差しを想像しながら、なんだか私は重苦しい気持ちになってしまった。明るい女友達との年賀状のやりとりに象徴されるような、ふっきれた雰囲気がこの最後には感じるのだけれど、それでも私個人としては、全ての人類が仲良く楽しく平和に清らかに、いさかいは全てが誤解と思い違いで、和解する事が可能で、皆が元あった所へ自然に帰って行くべきで、そういうことをどこかで望んでいたのかもしれない。そうならなかった。もちろんそんなことは絶対ありえないしそうなったらそうなったで私としても物足りないと思うんだろうけれど。そうならなかったことが必然的に苦しい。まあでも、結局私はそういう感情が嫌いではないのだ。やりきれない重苦しい気持ちが。
 あと、2章の終わり方のような、これまたやりきれない感じのする美しい描写が好き。

磯崎愛さま
恋人たちの物語――「心臓を食べさせられた奥方」の私的解釈における五つの断章――


 無料誌です。短いけれど、かなり読み応えがありました。心臓を食べさせられた奥方の元のお話は聞いた事がありますが、それが5つの証言でどんどん複雑な話になっていくのが面白かったです。とんでもない話なんだけど品の有る文体が心地良かったです。


市川イチさま『肖像』 リリェッロの森 http://mypage.syosetu.com/201972/  @1_ichikawa

 これも偶然、絵を描く人の話。18世紀イタリアを舞台にした、高名な金持ちの画家に拾われた少女時代を回想する話。浮浪児だった少女の心情が丁寧に細密に描かれていて、ぐいぐい引き込まれ読まされました。主人公は逞しく生きているようで全てが痛々しくて、回想という形でワンクッションあるにも関わらず読むのがつらいと思う時もあった。でもそれも含めてとても美しい話だった。隙の無い雰囲気を持つ作者様の文章に非常に興味を持ちました。もう一作品も買えばよかったです。


うーん。なんか感想文だからそうなるんだけど、本当に個人的な感じ方なんで、全然本質の所に触れていないかもしれません。夢中になって読んだけれど お勧め本のご紹介っぽくならなくて申し訳ないです。素敵な作品を書いて下さる皆さまに感謝しています。
他にもいろいろ買ったので、読んだらこのブログで簡単に感想を書く予定です。でも基本そんなに熱心に感想が書けないので……途中力尽きるかも……。
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posted by: nanori | 同人誌文学 | 19:33 | comments(2) | trackbacks(0) |-
第17回文学フリマ・本の感想その4
ロータス

柳川麻衣さま『ロータス』 http://words-in-pain.hacca.jp/pain/

 どこかでタイトル等を見かけたことがあり気になっていたので購入。よかった。形としては短編集のようだけれどすべて話が繋がっていて、読み進めるうちに世界の奥深くへ引き込まれていくようだった。たくさんの少女が出て来るが、少女は良いところも嫌なところもあるけれどすべてひっくるめて愛すべき存在として描かれている。私はこうじゃなかった、でもこの言葉は理解できるような気がする……と、多くの女性が感じるんじゃないか。少女的な心を持っていたことのある女の為の小説。すべての女の為じゃないけど。女だから感じる、痛みとやるせなさと時にざまみろという同じ女への嘲笑と(あくまで愛情の裏返しであります)。
 作品の中で「ベルばら」のオスカルさま等を例に挙げ、どんなにかっこよくても最後は女に戻っちゃうという不満を漏らした人物が出てくるけれど、これは私も本当にそう思っていた。「おにいさまへ…」の薫の君が突如乙女らしくなる場面で驚いてがっかりしたことがあるし。「オルフェウスの窓」もそうだった。女は女に戻るのが幸せな事なのだという空気が世の中には有って、男に女として扱われるのがうんざりするほど嫌だと感じた時期が私にも有って。それを経て人は大人になって行くのかもしれないけれど、でも最後まで少女が少女のままでハッピーエンドというのは本当に不可能なことなのか。「世の中」をしたり顔で語る男達こそ、どこか偏った見方をしている可能性は無いのか。だって確かに私の心はここにこのように存在する! これは女の中で育った、或いは女子校出の女の中でもまた一部の、しかし世間に必ず一定以上の割合で存在する種の少女が一生に一度以上持つ反抗心なのではないか。いずれ諦めてしまうとしても。
 長い連作の最後に行きつくところは、多分世界が認めざるを得ないひとつの答えだと思う。読み終えて私はこの物語はこうでなければ終わらなかったんじゃないかと思うし、だから最後の一文まで読んでよかったと思う。苦しくて、欠陥が有って、でも絶対的に心地よい世界だった。

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posted by: nanori | 同人誌文学 | 21:04 | comments(0) | trackbacks(0) |-
第17回文学フリマ・本の感想その3
文フリの本2

文フリで買った本の感想3回目です。

抒情詩工房さま『HIDDEN TREASURE』 @honeyuniversity

本当にたまたまなんですが文フリ当日、ブースに座っておられた素敵な方が、私がその時着ていたアクシーズの服と色も形も同じものを着ておられてびっくりしました。服装の趣味が似ているんなら、小説の雰囲気も私の好みかも…と想像し。わ、やっぱりよかった。
目に見えない秘宝といったものをテーマとした3作品で、どれも強烈なインパクトを感じました。

・雨枷シオンさま「Aqua illusion-水幻-」残酷で痛みすら感じる愛が非常に美しいと思いました。
・織作絵見理さま「少年子爵の断章」説明を伺ったところによるとオペラ座の怪人のその後のお話、だったと思います。あれは以前一度テレビでミュージカルを見たことがある程度なので詳しい事はよくわからないし忘れてしまったのですが、詳細な行きわたった描写で様々なイメージが目前に浮かぶようでした。シャ・ノワールの異形の者達や蝋人形の出て来るところが引き込まれるようで特に好きです。良かった!
・芹原茜さま「眠りについた家」短いのに複雑なファンタジーで面白かったです。姉弟、兄妹の間の絆、特に女の子達の愛情と悲しみが印象的でした。


クラーケン出版『a』 http://krakenp.web.fc2.com/

これはお気に入りです。表紙や中の茶色い紙も洒落ていて素敵だし、絵が素晴らしくて、ページに「栞」がはさまっていたりサボンの泡が広がっていたり風船が飛んでいたり、あと奥付のページの龍の子供のスケッチみたいなのがとっても良い。見ていて面白い本です。中身は幻想絵物語ということで、とても短い小説などですが印象的なのは「夕暮れのサボン」「青空風船」でした。深い意味合いを訴えているわけではないんでしょうが短いお話の中に不思議なシチュエーションが出て来て、なんだろう? と読んでいくと納得したりまた別の印象が出て来たりするのが面白いです。漫画? 連続イラストというのかよくわかりませんが「ル!」という作品も良かったです。


『浮遊文学』 創刊号 http://huyuubunn.boo.jp/ @huyuubunn

全11作品の短編集でSF、ファンタジー、現代小説と盛りだくさんでした。読んでみるとお二方とも非常に好みの作風で全部面白かったです。最後までわくわくしながら読んでいました。この本には偶然出会って本当によかったなと思います。私が特に好きだった作品の感想を下に書きます。ところで、目次でЁとёというイニシャルを使っているのは……最後までよくわからなかったけれど作者様方の下の名前がたとえば実は洋子さんと要一さんとかいうことですかね???名前は適当ですが。

・岡田さま「月とのはなし」
出だしは子供向けファンタジーのような雰囲気だけれど、主人公が語り出すと次第にはっとさせられるような、精神的に残酷な描写が出て来るようになって、愛と憎しみの相反する心情に揺れる主人公の姿は読んでいて胸が痛くなるようでした。でもあくまでこれはファンタジーで、それだけにとても美しい話でした。

・佐藤さま「山羊と妹と恋人と」
兄と妹とそれぞれに悩みを抱えながら、実家へ帰る途中何故か二人で入った動物園。どこに行き着くのかわからなくなるくらい難しいものを抱えた二人だけれど、生きる寂しさと共に、その難しさとそれでも生きて行く人の心のさりげない力強さを感じました。最後は何だか心に灯がともったような気持ちになりました。

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第17回文学フリマ・本の感想その2
先読ほか

山本清風さま『先読』 http://ameblo.jp/rehabilog/ @ankipan

 どのご本にするか迷っていたら内容を説明して下さって一番面白そうだったのを。特殊能力の有る社会人が会社で働くけれど、能力は「見える」だけなので特に何もしないような話(なんだそれ?!)って、確かにそうだった。主人公は一応真剣に働いている社会人(フリーター)だけど、へらへら、というかくねくねした感じが妙に面白かったです。会社にはいろんな能力を持った人がいてその人にまつわるエピソードが言葉遊びを交えつついろいろ変な感じで描かれているのです。会社の人では渡部部長が一番好きだったかも……いろいろいすぎてお腹いっぱいに。最後は主人公が真面目な人になっちゃうのがちょっと意外でした。なるほど! そういう話だったのか…! まあ真面目は真面目な人だとは思ったけど。かなり楽しめました。


Wilhelmina『I Say Hello』 http://words-in-pain.hacca.jp/pain/ @asa_co

 このご本良かったです。ビートルズの曲から連想した短いお話を各自描かれているということで、ビートルズをよく知らない私は最初あまり気にしていなかったのですが人からとてもいいのでとお勧めいただいて入手。ビートルズを聞くきっかけを頂いて楽しかったです。

・柳川麻衣さま「ここではないどこかで」
(Across the Universe)
 せっかくなので歌を聴いてから読んでみました。曲と同じく優しい穏やかな、ちょっと懐かしさを感じる雰囲気。説明はしづらいのですが、少年が幼少期から様々な不思議なものを見、夢のような風景と自分の人生の解釈に行きあたるようなお話。ちょっと異質で、いえもちろん完全に淡々とした日常の穏やかな空気の中にいるけれどどこか現実離れした感覚の中、ふと主人公と共に不思議な世界に紛れ込んでしまうように感じるのが読んでいてとても面白かったです。

・犬塚暁さま「Lead me to your door」
(The Long and Winding Road)
 プロイセンのフリードリヒ2世の頃のお話のようで、こういうことがあったのを全然知らなかったので非常に面白かったし、それでもただ戦争もので怖いんじゃなくて一人の人の良い男が狂わされた運命の下静かに謙虚に生きているのが良くて、ほっとさせられました。レースのリボンが美しく優しい女性の象徴のように描かれていて印象的でした。あれがとても好きでした。

・穂崎円さま「いま、なにしてる?」
(I've Just Seen a Face)
 SF。実は私はそれほどSFに慣れていないのでこれはどういうことだろう…と考え考えになってしまうのですがそれでも展開が凝っていて面白くて引き込まれました。「ブルーバード」はいいですね。読み終わった後もう一度歌の日本語訳(穂崎さまによる訳)を読んでうーんと唸ってしまいました。この歌詞からこんな素敵なお話を作るなんて。でも最後はなんだかちょっと寂しい気分に……でもビートルズのI've Just Seen a Faceを聞くとその曲調の明るさに希望を感じてちょっとほっとしました。


七家 岩切ゆゐさま『回歌』 http://about.me/iwakiriyui 

 一読惚れのご本。これは素晴らしいなあと感動しました。回文が五・七・五・七・七になっている「回歌」というものだそうです。どういう作り方をしているのか全くわかりませんが、とある前半の言葉を反転してできた言葉が後半で偶然意味の有る言葉として生成されているのにも関わらずいかにも関連付けられたかのように並んでいて、歌として収まっている。それだけに偶然浮かび上がる情景がさまざまに読む側の想像をかきたてます。


今回の最後に雑貨を。
栞訓子さまの栞。実は以前関西で見かけたことのあるブースが出ていたので思わず「あの、百万遍の手づくり市で……」と話しかけたらやっぱりそうだった。こんなところでお会いするなんて! 障子(?)枠に素敵な写真がお祭りの風鈴売りのようにずらーっと並んでいてブースを見るだけでも綺麗でした。以前も買った事が有るんですが写真は今回買ったもの。本に挟むとこんなに綺麗なんですよ! 写真の色合いがびっくりする程素敵。お勧め。いろんなイベントに出されてるみたいです。
http://kunkophoto.web.fc2.com/ @kunkoxxxx


まだ買った本が有るんでこれからちょこちょこ読んで感想書かせていただく予定です。素敵な作品ありがとうございました。

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